ネスレ


基礎情報

ネスレ(SIX: NESN)は1866年創業のスイスに本社を置く食料品会社。食品・飲料部門では世界一位の売り上げを誇り、消費財部門でもP&Gに次ぐ世界二位。多くの大手企業が米国市場へ上場する中、ネスレは上場コスト節減のためスイス証券取引所(SIX)にのみ上場しています。ネスカフェやキットカットが日本では有名ですが、多くのブランドを保有しています。ミネラルウォーターのヴィッテルやペリエ、調味料のマギーも有名です。また、開発途上国への展開の速さは折り紙付き。日本でも1913年に事業を開始しています。

銘柄分析

ネスレの最大の強みは、世界中の人々の日常生活に深く入り込んでいることです。好景気であれ、不景気であれ、世界中の日常生活へ分散投資しているネスレにとってはあまり関係ありません。欧州の多くのレストランはペリエを置いています。着席と同時に水か炭酸水を注文するのが習慣となっており、炭酸水と言えばペリエというわけです。たとえ景気が後退しても、ペリエは売れ続けるでしょう。また、政情が悪化しても調味料マギーをアフリカの人々は買い続けるでしょう。どんなことがあってもネスレは、マギーを売ることで年間10億ドルを手に入れることができるのです。こうした世界中の日常との繋がりが安定したキャッシュフローを生んでいます。そして、ネスレは半世紀以上にわたって減配をしていません。ネスレへの投資は、投資家冥利に尽きると言えるでしょう。また、同社は停滞している業績へのテコ入れを進めています。2017年9月にはブルーボトルコーヒーを子会社化し、2018年5月にはスターバックス製品の販売権を取得。コーヒー事業を更に成長させることで業績の改善を目指しています。

大項目小項目主要ブランド
飲料コーヒーネスカフェ
飲料コーヒーネスプレッソ
飲料コーヒーブルーボトルコーヒー
飲料コーヒースターバックス(販売権)
飲料飲料水ヴィッテル
飲料炭酸水ペリエ
飲料ココアミロ
菓子チョコレートキットカット
菓子アイスクリームハーゲンダッツ(北米)
調味料調味料マギー
化粧品化粧品ロレアル(大株主)

業績の推移

業績の推移は成熟企業そのものです。売上、営業利益、純利益ともにほぼ横ばいです。営業利益率は10%から15%のレンジで比較的安定しています。これは同業他社(ペプシコやカルビー)と比較しても申し分ない水準です。

BPSとEPSの推移

1株あたり純資産(BPS)は増加傾向にあり、1株あたり利益(EPS)は横ばいです。成熟企業として安定している上に、成長性についても大きな潜在能力を感じさせます。2010年にEPSが突出しているのは事業売却による影響です。特に、フランスの大手化粧品メーカー「ロレアル」の株式は本業との関わりが少ないことから、今後も売却の可能性がありそうです。これは利益の上振れ要因であり、新規事業への投資の原資ともなります。また、スターバックス製品の販売権の取得効果は2019年以降に見込まれています。

配当と配当性向の推移

1959年以降、世界経済は様々な危機に瀕してきました。その中でネスレは、ただの一度も減配することはありませんでした。増配率も驚異的な水準です。過去59年間の増配率は年率8%。長期、中期、短期、どの期間を見ても、10%前後の増配率を維持しています。これはインカムゲインを狙う投資家にとって、どの時点で投資しても増配の恩恵を受けられることを意味しています。直近の配当性向は高水準(99%)にあります。新たな成長分野の模索を続けるネスレの戦略が功を奏するか。増配傾向の維持のための試金石となることでしょう。

期間年数平均増配率
1959年-2017年59年間8.30%
1978年-2017年40年間9.35%
1988年-2017年30年間9.37%
1998年-2017年20年間10.06%
2008年-2017年10年間5.92%

自社株買いと総還元性向の推移

総還元性向は配当性向に自社株買いに要した支出分を加算したものです。ネスレの株主還元政策は配当金によるところが大きいです。しかし、稀に巨額の自社株買いを行うことでも有名です。2017年6月、ネスレは2020年までに200億スイスフラン(約2兆3,400億円)の自社株買いを実施することを発表しました。

キャッシュフローの推移

業績の推移と同様に、営業CFも安定した水準を維持しています。営業CFに対して三分の一程度が投資CFです。営業CFMは営業利益率と同様に10%~15%で安定しています。今後も安定した配当金の支払いが期待できるでしょう。

収益性と財務健全性の推移

株主資本利益率(ROE)は15%前後で安定しています。薄利多売の食品・飲料業界において、15%のROEを維持し続けていることは十分すぎる水準と思われます。また、自己資本比率も50%前後の水準を維持しており、レバレッジを抑えた経営と言えます。借り入れを抑えた上で事業を拡大する、無理のない経営戦略が見て取れます。

株価と投資指標の推移

長期的に見れば株価は右肩上がりで留まるところを知りません。一方、短期的に見ればEPSの伸びが低迷していることから、株価収益率(PER)が30%に近づいています。PERが20%前後で推移してきた傾向を踏まえれば、現在の株価はやや高い水準にあると考えられます。また、配当利回りは3%前後で推移しています。

投資方針

短期的な業績の低迷は見受けられるものの、市場における競争力に衰えは感じられません。ポートフォリオのバランスを考慮しながら、定期的に買い増しを行う方針です。唯一の懸念材料は、スイスの配当課税率が35%と極めて高いことです。

投資実績

過去の投資実績や配当履歴を掲載しています。取引ごとの投資判断については個別記事でご紹介しています。

配当履歴

日付配当金YOC株数投資額
2018年4月16日15,2751.83%100833,852
2019年4月16日31,2001.87%1001,672,072

取引履歴

日付取引取得単価株数投資額
2017年4月13日買付8,338.52100833,852
2018年6月5日買付8,382.04100838,204
合計-8,360.361001,672,072

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