2018-02-24

クックパッドを待ち受ける長いトンネル

概要

2018年2月9日、クックパッド(TYO: 2193)が2017年12月期の決算報告を行いました。業態転換の狭間にあって、業績の先行きが極めて不透明な状況は変わりません。しかし、見方によっては傷口の幅がおぼろげに確認できる状況にもなってきています。

事業戦略と業績への影響

業績が絶好調の中、カリスマ経営者を追い出し、創業者が戻ってきた当社。ガバナンスの不安と経営層への疑念が拭えないまま数年が経過しています。事業の多角化を図った前任者の功績を徹底的に潰し、料理事業へ経営資源を集中する戦略を採っています。

こうした方針の下、料理事業以外を徹底的に売却した結果、売上と営業CFは激減。今期の決算報告では、売上の減少は底を打った印象を与えているものの、先行きの不透明さは相変わらずです。

また、選択と集中を試みた割には、営業利益率50%前後を誇ったかつての姿からはほど遠い状況となっています。

料理動画事業を子会社化

今後の事業展開を占う上で大きな変化だったのが動画事業を子会社へ移管したことです。会計上の処理は別として、権限を現場へ下ろしたことは評価できます。完全に動画事業では出遅れているため、迅速な事業拡大によって市場シェアを取り戻すことができるかが今後のポイントとなります。

ただ、動画事業に成長分野を見出しているものの、収益モデルがGoogleの検索アルゴリズムと広告単価に左右され続ける懸念は払拭できません。

海外事業への注力と懸念

料理レシピ業界で世界を獲ることを経営陣は目指しています。その心意気は素晴らしいと思いますが、一抹の不安あります。

先進国で国民の大半が家庭でレシピ見ながら自炊中心の生活しているところは日本以外に思いつきません。北米や欧州では、煮たり焼いたりする程度の料理が多く、レシピを見ながら出汁をとるような手の込んだ料理はパーティーの時くらいでしょう。

また、新興国ではまだまだ外食が自炊より安価なので自炊中心にはならないはずです。そして、低所得国では核家族が中心なので母の味を娘が習うのが一般的でしょう。

これらを踏まえれば、海外事業が花開くのは、アジアの新興国の食文化が経済成長とともに変化し始める頃と考えています。

投資方針

保有銘柄の多くが好調な中、ポートフォリオの中で唯一異彩を放つ問題児。これから10年間成長できるように投資するフェーズとあるが、本当にしばらく浮上するまでに時間がかかる印象を持ちます。売却の予定は当面ありませんが、長いトンネルの出口が見えるまでは追加投資の予定もありません。

銘柄分析

クックパッドの銘柄分析の詳細についてはこちらをご覧ください。

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