2019-05-05

ベトナム株へ投資すべきか、8銘柄を財務分析

概要

東南アジア諸国の中で最も将来性を感じるのはどの国か。様々な尺度で回答が思い浮かぶと思います。東南アジアを歩き、社会や人々と触れ合うことで実感を以て投資を検討することができる。この感覚を私は大切にしています。私はこれまで、タイ、インドネシア、マレーシア、シンガポールへ投資してきました。私は最近、ベトナムに大きな可能性を感じています。ありきたりな経済指標の分析結果が理由ではなく、真面目で勤勉なベトナム人の気質が他の東南アジア諸国のそれを凌駕しているからです。しかし、国の将来性と個別企業の将来性は別次元の話です。今回は、ベトナム企業の財務分析を通じて、ベトナムへの投資と向き合ってみたいと思います。

業績の推移

今回はホーチミン証券取引所へ上場している企業の内、時価総額が大きな企業及び私の好みの業態(生活必需品等)を条件に8社選びました。個別の分析結果については、見出しにリンクを貼っておきますので、銘柄ページでご覧ください。

サイゴン貨物サービス

2008年創業のベトナムの運輸物流業者。ホーチミン市郊外のタンソンニャット国際空港内で貨物ターミナルの運営を担う。

サオタ食品

1996年創業のベトナムの水産業者。水産養殖・加工販売および関連機器の輸出事業を展開。

ビナミルク

1976年創業のベトナムの乳製品製造会社。

ビングループ

1993年創業のベトナムの不動産最大手。

ビンホアン

1997年創業の水産業者。水産養殖・加工販売事業をベトナムで展開している。

ホアファットグループ

1992年創業のベトナムの鉄鋼大手。中核の鉄鋼を皮切りに多角化戦略を進める同国随一の製造メーカー。

マサングループ

1996年創業のベトナムの大手コングロマリット。食品・飲料、金融サービス、天然資源などを手がける。

モバイルワールドインベストメント

2004年創業のベトナムの小売業者。携帯電話・家電製品の小売最大手。

銘柄分析

ベトナム企業の特徴としては、自社株買いはあまり実施されることはなく、現金配当と株式配当を同等に捉えている印象を持ちます。銘柄分析の中では現金配当のみを掲載していますが、株式配当を含めると異常なまでの高配当銘柄であることも多いです。

また、8社すべてに共通することですが、新興国の成長企業としてレバレッジを掛けた成長戦略を採用している企業が多い印象です。本業の稼ぎの数倍を投資している企業も多いことから、集中投資を行うのではなく、複数の企業へ少額分散投資をするのがよいかもしれません。

今回の分析の結果、サイゴン貨物サービスおよびビナミルクを投資対象として検討したいと思います。前者は日本の証券会社で取り扱いの少ない企業です。後者は株価が高止まりしている嫌いはありますが、下落局面で安心して投資できる銘柄と捉えています。

最後に、8社の中で最も力強く成長しているのはビングループです。銘柄ページでも触れましたが、ベトナムで巨大なベットタウンが次々と出現する背景には、地区を丸ごと開発するビングループの影響が大きいようです。PERが100倍まで買われてしまっているため、現時点では投資対象からは外しておきます。

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