2018-04-14

外国株式の落とし穴(為替手数料)

外国株式を取引する際に誰もが気にするのが手数料。しかし、多くの個人投資家は隠された落とし穴に気付いてすらいないのかもしれません。

為替手数料です。特に、私のように新興国銘柄へ個別投資している方については、決して無視できるレベルの手数料設定ではありません。

今回はこの「隠された手数料」について、解説していきたいと思います。

取引手数料と為替手数料

日本国内の証券会社で外国株式を取引する際、2つの異なる手数料がかかってきます。取引手数料と為替手数料です。

取引手数料には国内手数料・現地手数料・現地諸費用などが含まれます。オンライン証券各社はここを安く設定することで、「手数料が安い」という印象を与えようとしているようです。

為替手数料には為替取引に関する手間賃とスプレッドなどが含まれます。オンライン証券各社は手間賃を無料にすることで「為替手数料も安い」という印象を与えようとしているようです。

今回の「隠された手数料」は、このスプレッドです。スプレッドを簡単に説明すると、両替時の売値と買値の差額のことです。たとえば、空港の窓口で売値と買値の表示価格が異なりますよね。両替商は安く買い、多少高く売ることで儲けているわけです。

それと同じことが外国株式取引でも起きているわけです。しかし、あまり意識している個人投資家は多くなさそうです。

為替手数料の罠

カタカナ言葉に馴染みがない方もいると思いますので、ここから先はスプレッド=為替手数料と読み替えて解説していきたいと思います。外国株式を取引した場合のの具体的な例を見ていきましょう。ベトナム株はSBI証券、その他は楽天証券の手数料です。

100万円を投資した際の取引手数料

楽天証券で100万円を個別銘柄へ投資した際の取引手数料を以下の表にまとめました。「意外に安いのでは?」といった印象を与えます。証券会社の多くは、この表を使って手数料の安さを強調しています。

外国株式取引手数料(円)手数料率
米国株2,3220.23%
シンガポール株10,8001.08%
マレーシア株10,8001.08%
タイ株10,8001.08%
インドネシア株10,8001.08%
ベトナム株 21,6002.16%

100万円を投資した際の為替手数料

そしてこちらが為替手数料です。新興国の通貨に対して手数料がかなり上乗せされているのがわかります。インドネシアルピアに関しては3.75%もの手数料が上乗せされています。

外国株式為替手数料(円)手数料率
米国株2,3250.23%
シンガポール株10,0481.00%
マレーシア株15,3021.53%
タイ株22,7922.28%
インドネシア株37,5003.75%
ベトナム株 39,5263.95%

100万円を投資した際の手数料総額

取引手数料だけを見て「安い」という印象を受けるのは時期尚早です。実際には為替手数料が加算されます。それが以下の表です。

たとえあ、インドネシア株に関しては取扱手数料が1.08%と安い水準にあったのが、為替手数料が加算されることによって4.83%まで上昇しています。優良銘柄へ投資して配当を受領しても1年で回収できる水準ではありません。

外国株式手数料総額(円)手数料率
米国株4,6480.46%
シンガポール株20,8482.08%
マレーシア株26,1022.61%
タイ株33,5923.36%
インドネシア株48,3004.83%
ベトナム株61,1266.11%

結論

特に新興国銘柄の取引に関しては、見せかけの手数料に注意が必要です。また、上記の表はすべて片道の手数料であることも付け加えておきます。頻繁に売買を繰り返すと、手数料が青天井で伸びていくことが明らかです。たとえば、インドネシア株を買い付け、為替レート・株価ともに同額で売却する場合、9.66%の手数料が加算されることとなります。100万円に対して96,600円の手数料です。

最後に、上記では触れませんでしたが、手数料の面から見ても米国株の優位性が一際目立っています。大手オンライン証券では米国株に係る取引手数料に上限を設けていることが多いです。そのため、投資額が増えれば手数料総額は0.46%からさらに減少するメリットがあります。たとえば、200万円の投資で0.35%、300万円の投資で0.31%となります。新興国銘柄に関しては取引手数料の上限が定められておらず、手数料率は常に一定となっています。米国株のような「まとめ買い」のメリットは無いといえます。

こうしたことを踏まえてもなお、私は東南アジア銘柄へ投資しています。30年後を見込んだ青田買いです。手数料がとても高いことから、株価と配当の両方の成長を見込んで投資する必要があります。手数料の安い米国優良株で足元を固め、東南アジアの有望銘柄を少額保有しておくのが私の考え方です。

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