2019-11-20

SlackはMicrosoft Teamsに勝てない

スラックテクノロジーズ(NYSE: WORK)は、IT業界では言わずと知れたチームコミュニケーションツール「Slack」を主力製品とする新興企業です。そして、Slackはマイクロソフト製品「Teams」と比較されています。これはマイクロソフト(NASDAQ: MSFT)がSlackとのユーザー獲得競争を比較広告として掲載したことに端を発し、SlackのバタフィールドCEOが反論したことで盛り上がりを見せました。この部分だけを切り取れば意地とハッタリの応酬に他ならず、比較可能なデータなのかすら怪しいです。

しかし、本質に目を向ければ、私はSlackがマイクロソフトの市場を奪うのは到底不可能だと考えています。正確に言えば、Microsoft Teamsが大企業向けの法人市場を席巻する姿が私には見えています。歴史ある組織や大企業で仕事をした経験がある方にとっては当たり前ですが、これらの組織において新しいビジネスツールの導入は極めて困難です。直属の上司に有用性や安全性を説明することも難しいですが、それ以上に、複数の部署のシニア世代の同意を取り付けることはほぼ不可能に近い大規模な改革となります。一方、マイクロソフトオフィスはパッケージで売り込むことで既に市場を席捲しているため、Teamsをパッケージに組み込むだけで浸透させることができるわけです。

このように、Slackが大企業向けの法人市場でMicrosoft Teamsに勝つことは極めて難しいです。しかし、Slackの収益構造は大口顧客を獲得することで成立するモデルを採用しており、マイクロソフトに勝たなければ採算が取れないようでは先行きが極めて不透明となります。

したがって、Slackは中小企業市場で稼げるようにビジネスモデルを転換するか、外部の有力プラットフォーマーにパッケージで売り込んでもらうか。成功のポイントはこの二択しか残されていないのではないかと考えています。

ただし、一旦導入してしまえば解約も難しいビジネスツールであるため、今後もある程度の会員数の上昇は見込むことができます。問題は会員数の伸びが頭打ちとなった時点で、フリーキャッシュフローをどの程度確保できるビジネスモデルであるかを見通すことができないことです。アドビのようなキャッシュフローになれば、マイクロソフトに勝てなくとも投資価値はあるのかもしれません。

キャッシュフローの推移(WORK)

キャッシュフローの推移(ADBE)

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