寡占市場を面で獲るという考え方
長期投資をする際に考える一つの哲学があります。「寡占市場を面で獲る」という考え方です。「参入障壁が高い業種へ投資せよ」ということは、昔から言われている株式投資の基本です。たとえば、情報通信・エネルギーセクターは膨大な初期投資が必要となるため、少数の企業がシェアを握っている業種です。
寡占市場へ分散投資
私の投資方針はこうした独占・寡占市場で高シェアを有する企業を満遍なく買い集めることです。
ベライゾン(NYSE: VZ)とAT&T(NYSE: T)の株式を取得すればアメリカの移動体通信市場シェアの7割を獲得することができます。
フィリップモリス(NYSE: PM)とブリティッシュアメリカンタバコ(NYSE: BTI)と日本たばこ産業(TYO: 2914)の株式を取得すれば世界の電子タバコ市場シェアを独占できます。
ビザ(NYSE: V)とマスターカード(NYSE: MA)の株式を取得すれば世界のクレジットカードシェアの8割を獲得することができます。
もちろん、市場で高シェアを独占することは大規模な企業買収となれば独占禁止法などにより不可能です。しかし、個人投資家は自分のポートフォリオの中で寡占市場内で分散投資し、市場を独占することは可能です。
高シェア企業へのみ集中投資
特定のセクターに限定した上場投資信託(ETF)は、まさにこれを実践していると言えます。ただ、市場シェアの低い銘柄へも投資資金を分散させることとなるため、意図しない銘柄への投資は避けられないでしょう。高シェア企業へのみに集中投資するには、やはり個別銘柄への投資と言うことになります。
これは少々大げさな考え方ですが、「寡占市場を面で獲る」というのが私の投資哲学の一つです。寡占市場で高いシェアを安定して確保している企業の多くは、圧倒的なブランド力を持ち、安定したキャッシュフローから継続的に株主還元してくれることでしょう。当該セクターが縮小しない限り、長期投資には向いている考え方だと思います。